カールス教会に入ってエレベーターに乗ろう

ウィーンは"バロックの都"と形容されている通り、ヨーロッパでも重要なバロック建築が多く存在します。中でも最もポピュラーなのはシェーンブルン宮殿でしょうか。世界遺産にも登録されていてひとつの観光スポットとしてオーストリアでは最も多くの人が訪れます。ウィーンに始めて来てこのシェーンブルン宮殿に行かない人はまずいないのではないでしょうか。しかし、"バロック建築"という観点から見た場合はこのシェーンブルン宮殿以上に

ベルヴェデーレ宮殿の方がオーストリアバロックの全盛期に建築されているため、装飾が豊かでより美しいことで評価されています。その他にウィーンの街中を歩けばたくさんバロック建築に出会えます。実際にはウィーンはかつての帝国の都だったのでバロックだけではなく全ての建築様式を見ることができます。

さて、そのバロック建築の重要な建築のひとつとしてカールス教会があります。カールス教会は国立オペラ座からとても近い位置にあるにもかかわらず、日本の団体ツアーではなぜか訪れる機会がとても少ないのが残念です。

 

カールス教会はペストの守護神カール・ボロメウスに捧げられ、この聖人と同名の皇帝カール6世の命で巨匠建築家フィッシャー・フォン・エアラッハ親子により1737年に完成しています。カール6世はマリア・テレジアのお父さんにあたり、彼の時代がオーストリアバロックの全盛期です。彼が1740年にこの世を去ってオーストリアでのバロック時代が終わるとされています。中央にあるドームとその手前にある2本の柱が印象的で、バチカンを意識したバロック建築です。この2本の柱に施された新約と旧約聖書のレリーフは目を見張る芸術作品で、ローマのトラヤヌス記念柱をモチーフにしています。この教会は通常、正面から見て右側が入口となっていて、階段をを上がると係がいる窓口があります。つまりこの教会に見学として入るのには入場料がかかりますが、それでもここに入る価値は十分にあります。バロック様式の楕円形教会構造がよくわかり、素晴らしい天井フレスコ画が見られます。余談ですが楕円形構造というとグラーベンそばのペータース教会をすぐに思い出します。カールス教会内には3年半近く前にもこのコーナーで話題にしましたが、修復用のエレベーターが設置されていて、そのエレベーターで天井フレスコ画がある高さまで上ることができます。個人のお客様には私はよくここを御案内しています。

 


 

エレベーターが真上に向かって設置されていて、教会内部を見下ろしながら上って行きます。楕円形ドームの天井フレスコ画が描き始めらている高さでエレベーターが止まります。この高さが35m地点です。左の写真で白いネットに包まれた空間が見えますね。ここがその35m地点で、ここを歩き回ってフレスコ画を近くで見ることができます。おもしろいのは、そこからさらに階段が設置されていて、もっと上まで上って行くことができるようになっています。右の写真はエレベーターの終わりの高さから設置されている階段で、この天井ドームのフレスコ画と平行して高くなっているのがわかります。

フレスコ画はオーストリアのミヒャエル・ロットマイヤーによるもので、彼は前述したペータース教会の天井フレスコ画も手掛けています。

 


 

かなりの段数があるこの階段を上がって行くと一番上の空間まで行くことができるようになっています。1枚目の教会の写真を御覧下さい。ドームの上にちょっと飛び出した小さな楕円形の空間がありますね。この空間まで行ってそこからウィーンの街の眺めが楽しめます。その小さな一番上の楕円形空間の天井には右の写真に見られるように聖霊を表す鳩が描かれています。

この階段を一段ずつ上って行くごとにこの天井フレスコ画の素晴らしさに圧倒されます。

カールス教会の高さは72mですから、エレベーターの終わりから倍ぐらいの高さを階段で上ることになります。

 


 

左は階段の途中から下を眺めています。フレスコ画がほぼ垂直に描かれていることがわかり、ドームの楕円形窓も下の方に見えています。右はフレスコ画のワンシーンで、神とイエス・キリストです。

 

通常教会の中に入って天井フレスコ画を見上げてすごいなぁ~と思うわけですが、このカールス教会は目の前で天井フレスコ画が見えることやまたこのバロック教会建築の構造がわかってとてもおもしろいです。

3年前にここを紹介した時に、後1~2年程度で修復が終わってエレベーターが取り外されると教会側が言っていたことを書きましたが、思ったよりも修復に時間がかかり、この前聞いたらあと1年から2年はかかるだろうということでした。

ウィーンに来られたらこのチャンスを生かして是非ここを訪れてみて下さい。

 

 

 

 

 

 

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