クラーゲンフルトの"Lindwurm" 伝説

オーストリアの郊外には美しい街がたくさんあります。

ウィーンはオーストリアで最も人口が多い184万の街ですが、2番目に人口が多いグラーツですら29万1.000人しかいません。

人口数万人から数千人単位の美しい街が国内にはたくさん点在しています。

その中で今日はクラーゲンフルトからの話題です。

 

オーストリアの南に位置するケルンテン州の州都Klagenfurt am Wörtherseeは(クラーゲンフルト・アム・ヴェルターぜー)は私が大好きなWörtherseeのすぐ東に位置した人口101.000人の小さい街ですが、中心部はオーストリア典型的な明るさと美しさがあります。

クラーゲンフルトのシンボルと言えば"Lindwurm" (リントヴルム)です。

 

"Lindwurm" (リントヴルム)は日本語でもリントヴルムと呼んでもいいと思いますが、伝説上の生き物で翼があるドラゴンです。

クラーゲンフルトのNeuer Platzにはこの"Lindwurmbrunnen"という有名な噴水があります。

1583年にケルンテン等族からの命令によりが伝説上の生き物の記念碑を作ることになりました。

このLindwurmはこのクラーゲンフルトの地元の山であるKreuzberglから切り出された単体のクロライト(緑泥石)から作られています。

製作者は長く Ulrich Vogelsangだと思われていましたが、どうやら違っているようで無名の彫刻家だどうということに現在ではなっています。

非常に攻撃的なLindwurmはマニエリスム的な要素も見られ、しかしロマネスク的な部分も感じられます。

1593年にこの600トンもあるLindwurmが300人の白の服を着た若者達によってこの場所に運ばれました。

 

当初このLindwurmは頭を北に向けていて、噴水はありませんでしたが、(プランには描かれていましたが)1624年には噴水が作られ、現在の向きに動かされたようです。

1634年にはGeorg Tillitzniよって後期ルネッサンス様式の花の模様を伴った囲いが噴水に作られました。

1636年にはヘラクレスの像が追加されていますが、彼の持っているこん棒こそこのクラーゲンフルトの街ができたことと、このLindwurmに大きな関係があります。

1972年にこの広場の下には地下駐車場が作られましたが、その際にLindwurm噴水は現在の位置に移されました。

 

 

こちらがLindwurm噴水の全体です。

ここにはヘラクレスは写っていません。

しっぽに特徴があり、恐怖感が漂っていますね。

 

 

クラーゲンフルトのLindwurm伝説

 

Karast公爵の時代、この辺りはWörtherseeからDrau河まで湿った苔が多くあり、野生の木々や茂みがある地域でした。

山側は放牧地域になっていたので人々や家畜はいましたが、逆にこの地帯には誰も人が立ち入ることがありませんでした。

稀に人が入ると、その不気味な暗闇からは誰も戻っては来ませんでした。

また牛なども消えてしまい、羊飼いなどがいくら探しても見つかりませんでした。

この地域はいつも深い霧に覆われていたので、人間や動物を殺すような殺人鬼を誰も見ることがありませんでした。

 

さて、公爵は大勢の中から勇気ある者に、この殺人鬼のいる場所を突き止めて、退治する命令を出しました。

しかし、恐怖から勇気ある者達も退いてしまいます。

 

ある策略だけがこの殺人鬼をおびき出すことができたのです。

 

その後まもなくこの沼地の端に頑丈な塔が作られ、その塔の中から相手に悟られることなく遠くを見渡せることができるようにしました。

勇気ある少人数の下男たちが退治した時の報酬に引かれて戦いに挑みました。

その報酬とは策略と力で殺人鬼を退治した勇気ある者には川からのこの土地、十分なお金、

もし奴隷であれば自由を与えることでした。

 

肥えた雄牛を鎖でつなぎ、そこに釣り針のような鉤を取り付けました。

雄牛の鳴き声がこの一帯にこだまし、まもなく沼地から水しぶきが立ち上がり、羽としっぽを持った巨大な生き物がまるで槍のように飛び出してきました。

そして雄牛を飲み込むために大きな口が開かれます。

その時魚を釣るように鉄の鉤がドラゴンに口の中に刺さり、ドラゴンは怒りからしっぽを振り回してさらに尖った足で雄牛を深くつかみます。

その時素早く下男達が飛び出し、鉄のこん棒でドラゴンをやっつけてこの場所はドラゴンから解放されました。

このドラゴンと戦った場所に平和な村ができ、塔が立っていた場所には公爵によってお城が作られます。

この村とお城が時と共に発展して現在のクラーゲンフルトが生まれることになります。

 

 

 

 

 

 

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