今日は年明け恒例のウィーンフィル ニューイヤーコンサート2025年の覚え書きです。
ニューイヤーコンサートが始まるのはウィーン時間の午前中11:15、日本だと19:15ですね。
去年2024年は新年早々に地震があったことから予定されていた多くの番組が急遽取り止めになったので、ニューイヤーコンサートも日本ではライブ中継されなかったと思いますが、今年はリアルタイムで観た方が多いのではないでしょうか。
自分は毎年そうですが1月1日は仕事をしていましたが、観光中シュテファン大聖堂の所でちょうどニューイヤーコンサートをライブ映像で流していたので、少しそこで立ち止まって皆さんと観ましたが、家に帰ってから録画してあったものをゆっくり観ました。
個人的にニューイヤーコンサートは過去LIVEで見たこともありますが、御存知の通りチケットの値段だって普通のコンサートよりも正規価格でも遥かに高いですし、入手困難ですからね・・・。
でも毎年11月ぐらいから地元の色々なチケット取り扱い業者から「うちはニューイヤーのチケットが数枚あるから行きたい人がいれば売れますので連絡下さい」というような電話やメッセージが私の所に届きます。
でもその時の提示価格は正規価格よりも倍ぐらいの高さになっています。
そのような業者ルートから数枚であれば比較的簡単にチケットは入手できますので行く気になればほぼ確実に行けますが、価値観の問題ですね~。
2.000ユーロ以上を一枚のチケットに払うか・・・ということですね。
さて、テレビで観るニューイヤーコンサートは楽しいです。
途中に色々な演出があり、会場では見ることができない映像が見られますからね。
今年のニューイヤーコンサートは67回目の生中継で、去年はブルックナー生誕200年とザルツカンマーグートのBad Ischlが2024年ヨーロッパ文化中心都市(Kulturhauptstadt Europas) に選ばれたことがテーマでした。
例年通り今年もバロック時代の作曲家マルク=アントワーヌ・シャルパンティエ(1643-1704)のEurovisionから始まり、リンク道路付近を上から見た映像から見て、シュテファン大聖堂が最初に登場し、カメラが移動してホテルインペリアル、そして楽友協会ホールの建物が映し出され、この正面入り口の扉が開いて視聴者も中に入って行くようなお決まりで始まりました。
去年の指揮はChristian Thielemann(クリスティアン・ティーレマン)で、ニューイヤーは2019年以降2回目でしたが、今年はナポリ生まれの今年84歳になる巨匠Riccardo Muti(リッカルド・ムーティー)でした。
ムーティとウィーンフィルの関係は長く、ムーティはウィーンフィルの名誉団員にもなっていて、ニューイヤーコンサートを振るのは過去1993年、1997年、2000年、2004年、2018年、2021年と今年で7回目です。
2021年の時は無観客で行われましたが、全世界からのファンの皆さん7.000人がオンラインでこのニューイヤーコンサートを支えてくれて、途中彼らの写真が紹介され、画面越しでの拍手も中継されたのをよく覚えています。
ムーティは今までウィーンフィルを500回以上も指揮しているのですが、1993年の最初のニューイヤーコンサートが終わった後で、もう二度とニューイヤーはやらない・・・と言ったエピソードが今年紹介されました。
今年の最初の演目はJohann Strauß I. Freiheits-Marsch, op. 226
2.Josef Strauß Dorfschwalben aus Österreich. Walzer, op. 164
3.Johann Strauß II. Demolirer-Polka. Polka francaise, op. 269
4.Johann Strauß II. Lagunen-Walzer, op. 411
5.Eduard Strauß Luftig und duftig. Polka schnell, op. 206
この後恒例の休憩です。
この間にお茶の間に流される映像が毎年皆さんが楽しみにしているんですね。
去年は "ブルックナー生誕200年" というテーマでしたが、今年はヨハン・シュトラウス2世生誕200年で、この映画のタイトルはEine Staruss-Odysseeです。
まずは宇宙船の中で宇宙飛行士が目覚めます。
"美しき青きドナウ"がバイオリンx2、ビオラ、チェロ、コントラバス、ハープの小編成での演奏が流れながら青い地球が映し出されます。
これは2001年宇宙の旅を思い起こさせる演出です。
さらに絞られてウィーンの街、旧ドナウ、中心部と映像が変わります。
音楽がファゴット6人編成で演奏されるシュトラウスの"こうもり "に変わり、宇宙飛行士がディスプレイをタッチし、ヨハン・シュトラウスの生きていた時代1860年にタイムスリップします。
ウィーンの街のSchwarzenbergplatz、Graben、ドナウ運河、エリザベート橋、市庁舎、Volksgartenが当時の白黒写真をカラー化して映し出され、シュトラウスのアメリカコンサートの様子も登場します。
市立公園にあるシュトラウス像が中に施されたスノーボールを宇宙飛行士が触るとシュトラウスの最初の奥さん、ヘンリエッテ(イェッテ)が、そして3番目の奥さんアデーレが登場します。
宇宙船が非常事態に陥り、宇宙飛行士が宇宙服を着て船外で作業をし、非常事態を克服します。
去年のブルックナーとは全く違う今年の映像で、ウィーンフィルメンバー以外には宇宙飛行士1人というかなりシンプルなシュトラウスオデッセイでした。
そして後半です。
6.Johann Strauß II. Ouvertüre zur Operette "Der Zigeunerbaron"
7.Johann Strauß II. Accelerationen. Walzer, op. 234
ここで国立オペラ座バレエ団がSemmering のSüdbahn Hotelでのバレエを披露
8.Josef Hellmesberger (Sohn) Fidele Brüder. Marsch aus der Operette "Das Veilchenmädchen"
9.Constanze Geiger Ferdinandus-Walzer, op. 10 [Arr. W. Dörner]
10.Johann Strauß II. Entweder - oder! Polka schnell, op. 403
ここではウィーン技術博物館の蒸気機関車の前でバレエが披露されました
11.Josef Strauß Transactionen. Walzer, op. 184
12.Johann Strauß II. Annen-Polka, op. 117
13.Johann Strauß II. Tritsch-Tratsch. Polka schnell, op. 214
14.Johann Strauß II. Wein, Weib und Gesang. Walzer, op. 333
以上でオフィシャルプログラムは終了となり、アンコールに入ります。
アンコール1曲目は
15.Johann Strauß II. Die Bajadere (The Bayadere), Polka schnell
そして美しき青きドナウの序奏が始まり・・・伝統通り、演奏がストップされMutiさんが世界の聴衆に向って挨拶を述べ、ウィーンフィルと私から新年おめでとう...Prosit Neujahr! の挨拶でした。
この時Mutiさんは最初にWiener Philharmoniker...と言いますが、笑みを浮かべてDie Wiener Philharmoniker...と言い直しました。
冠詞を抜かしてしまったんですね。
これは偶然なのか演出なのかは分かりませんが、映像を観る限りうっかり落としてしまったように見えます。
17.Johann Strauß II. An der shcönen blauen Donau, Waltzer 0p.314
美しく青きドナウです。
最後はもちろん
18.Johan Strauss Vater Radetzky-Marsch" op.228 ラデツキー行進曲です。
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートが行われる場所は楽友協会の黄金の間です。
このホールは世界で最も音響がいいホールのひとつで、ウィーンフィルの本拠地となっていて、私も年間を通してよくこのホールの案内をしていますが、ニューイヤーコンサートの時は花が飾られ綺麗に装飾されますから普段とは全く違います。
ニューイヤーコンサートは3回あるということはあまり知られていないようですね。
12月30日、31日、1月1日の3日間で、3日間とも同じ顔触れで同じ内容で行われますが、1月1日だけは世界に生中継で、また他の2日間から比べればチケットも高くなっています。
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの始まりはクレメンス・クラウスの指揮で、1939年の大晦日でした。
つまりニューイヤーコンサートではなかったわけです。
しかし、次の年1940年大晦日と翌日1941年1月1日と2日続けてコンサートが行われ、その時からニューイヤーコンサートが始まったというわけです。