オーストリアには観光ガイドブックには載っていない、でも地元では知られている歴史的に重要な場所がたくさんあります。私はオーストリア国家公認ガイドとして様々な場所を御案内していますが、オーストリアが大好きな私にとっては仕事では絶対に行かないような所にも時間があれば家族としょっちゅう出かけています。そのような場所はシェーンブルン宮殿やウィーンの旧市街のように観光客が全くいない、地元人だけが楽しんでいます。今年の夏も色々な所に出かけましたがそのひとつFossilienwelt (フォシーリエンヴェルト)を紹介します。
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Fosiilienwelt (フォシーリエンヴェルト)は日本語では"化石の世界"という訳でいいと思いますが、ウィーンから北北西にちょっと離れたStettenにあります。
StettenはNierederösterreichのKorneuburgの行政に入る人口1.400人弱の小さな街で、この辺りはKoruneuburger Beckenと呼ばれる盆地で、ドナウ河から15km~20km程の北に位置し、幅が4km~7kmで、Alpenostrandに入り、”アルプスの東端"なんて言う意味になります。
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ここは今から1.650万年前の中新世時代は右の写真に見られる地形でした。
紫色で示した場所がここStettenで、ここは河口湾であったことがわかります。
その上の青い点はクロイツェンシュタイン城で、その下にはKoruneuburgの街があります。この河口湾はかなり長く伸びた形で、左の方から流れてきた川がこの河口湾を通り、そして海へと注がれていました。サイ、オオコウモリ、小さな鹿などが陸地で、岸辺にはワニが待ち伏せし、海では貽貝などが増殖し、またイルカやサメがたくさんの魚たちを襲っていたのです。海の浅い所では海牛(ジュゴン目)もいました。今ここは完全に陸地になっているので想像できません。
しかもこの時代のヨーロッパのこの辺りは現在よりももっと南に位置していました。そのような状況からここではたくさんの化石が発見されていて、ガイドツアーのみで見学することができます。
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この日はいい天気でしたが、ガイドツアーに参加する少し前に雨が降り出してきて、この時は傘を持っての見学となりました。ここのハウスガイドさんも傘をさしています。ここはアメジストの世界のように自然の中に作られていて、メインの壮大な化石が見える場所は屋内となっています。外には展望台や遊び場も作られていて入場料なしでここがオープンしている間は自由に入ることができ、散策ができます。この辺に落ちている石は特徴ある石でちょっと化石的な白い石が多いです。
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化石が見られる屋内空間は400m²で、シェーンブルン宮殿の大広間とあまり変わりません。ここでは音と映像と光を駆使したマルチメディアの演出で見る者をタイムスリップさせて別世界に誘い込みます。無数の貝などが巨大な石の塊に化石となって見られ、これ自体がひとつの大きな化石のようです。
ドイツ語では"Riff"(リフ)と呼ばれ、岩礁ですので、巨大な岩礁です。
一般見学ができる岩礁としては世界最大です!
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ここには15.000程の化石の展示があり、展示コーナーもとても充実しています。貝以外にも魚の歯とか、真珠も見られ、この地域で発掘されたものが多く展示されています。
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このFossilienweltではアメジストの世界 3でも見られるように化石を発掘することができます。ここは別料金となっていて30分単位です。ザルのような物を貸してくれますが、発掘した砂の中に化石が入っているかどうか砂をこすのに役立ちます。私も子供と一緒に真剣に発掘してみました。貝とか歯のようなものが結構見つかりました。
ウィーンは帝国の都・・・そのイメージが強いので、"遺跡"というイメージは持てても海の生物の"化石"はあまりピンと来ないかもしれませんね。でもここは地元では歴史的にも重要な場所です。