聖ニコラウスの日・・・オーストリアではクリスマスプレゼントを持って来るのはサンタクロースではありません

昨日のサッカーワールドカップ クロアチア戦・・・1:1で決着がつかないまま延長も終わり、最後のPK戦・・・正直盛り下がりました。

選手たちも相当なプレッシャーであったでしょうね。

シュートも低くて鋭くなく、相手のキーパーに簡単に球筋を読まれたような印象を受けました。

ドイツ、スペインに勝っただけに期待していたのですが、最後のPKであのような形で負けてしまうとは・・・本当に残念でした。

 

一昨日12月4日がアドヴェントの第2日曜日でした。

ますますクリスマスが近くなってきますね。

そのクリスマスにはプレゼントをもらう習慣がありますね。

オーストリアでサンタクロースがプレゼントを持って来るなんて言うと、地元の多くの人に苦笑いをされてしまいます。

では誰がプレゼントを?

それはChristkind(クリストキント)・・・子供のキリストと昔から決まっています。

だってクリスマスはイエス・キリストが生まれたことを祝うためのもの・・・だから子供のキリストがプレゼントを持って来るわけです。

じゃあサンタクロースは誰か?

それはカトリックの有名な聖人ニコラウスが原型というのが一般的で、今日12月6日はその聖ニコラウスの日です。

 

ニコラウスは小アジア(現在のトルコ)のMyra の司教であり、だいたい350年ぐらいに亡くなったとされている聖人です。

貧しい人達を憐み、助けて、財産を全て貧者に与えたとも言われています。

 

よくある有名な彼のエピソードは、年頃の3人の娘を持った、貧しい父親の話です。

お金がなかったので、娘達を嫁がすこともできなかった・・・そこで娘たちが体を売ってお金を作ろうとした時に、ニコラウスが3日3晩現れ、その家の窓から、もしくは煙突から金貨を投げ込んだとされています。

その金貨がそこにぶら下げられていた靴下の中 (もしくは置いてあった靴)に投げ込まれた・・・ということです。

何かピンと来ませんか?

 

もうひとつのエピソードは、航海中嵐によって難破しそうになった船の上で、船乗り達がニコラウスの名前を呼んだら海の上にニコラウスが現れて、命を救った・・・ということです。

 


<ニコラウスがサンタクロースへ変化していく>

 

小アジアでは6世紀にすでにニコラウスのお祭りの習慣がありました。

現在でも彼のとても傷んだ棺がMyraの教会の下にあり、特に東方正教会の重要な巡礼教会としても知られています。

1087年にそこからおそらく海賊達によって、ニコラウスの骨が盗まれ、イタリアのBari (バーリ)に持たらされ、そこにニコラウスの教会が作られました。 現在でもそこは有名な巡礼教会です。

その後、ヨーロッパでもニコラウス崇拝がとてもポピュラーになったわけです。

 

やがて新大陸のアメリカが発見され、そこに17世紀、オランダ人達が移民していき、その時にこのニコラウス習慣をアメリカに持って行きました。

St.Nikolaus はドイツ語では、ザンクト・ニコラウス、英語でセント・ニコラウス・・・オランダ語ではSinterklaas・・・これがアメリカから"サンタクロース"というカタカナ書きで日本に入って来たわけです。

 

日本はアメリカナイズされているので、クリスマスもアメリカ的にサンタクロースがプレゼントを持って来るわけですが、こちらオーストリアではサンタクロースがプレゼントを持って来ることはあり得ません。

 

12月6日は良い子にしている子供達にはニコラウスがやって来る・・・こちらでは"ニコロ"とも愛称で呼ばれています。

悪い子供にはKramps (クランプス)・・・鬼が来ることになっていて、その日は昨日の12月5日です。


<こちらの子供達のニコラウス習慣>

 

 

自分の靴をきれいに磨いておいて、12月6日ニコラウスの日の前日の12月5日夜寝る前に、自分の部屋の窓に置いておきます。

そこでニコラウスが良い子の所に現れて、その磨かれた靴の中に、食べ物を入れるという習慣があります。

その食べ物は落花生、みかん、リンゴ、チョコレートなどで、この冬に食べ物がある・・・という象徴なんですね。

現在では実際に靴を磨いている子供達はそんなに多くないかもしれませんが、この12月6日に食べ物やちょっとした小さな贈り物をもらうことは現在でもとてもポピュラーな習慣です。

地元ではNikolo(ニコロ)と呼ばれ、この時期の大事な習慣として生活に浸透しています。

 

今日12月6日はニコラウスの日、だから彼はクリスマスにはもう登場しません。

クリスマスにプレゼントを持って来るのはChristkindです。

サンタクロースはドイツ語では"Weihnachtsmann"と呼ばれ、直訳すれば”クリスマスの男“になり、クリスマス時期のポピュラーなキャラクターとして、装飾として登場、クリスマスの雰囲気を盛り上げる仕事をします。