世界遺産にもなっているヴァッハウ渓谷はドナウ河の最も美しい所であり、船下りがあることで知られています。
私もシーズン中頻繁に御案内していますが、個人的にも大好きな所です。
メルク修道院で有名なメルクから船下りが始まり、多くはデュルンシュタインで下船することになりますが、終点はクレムスです。
クレムスの船着き場はクレムスの中心からちょっと離れていますが、クレムスの街は美しくて可愛らしいオーストリア典型的な郊外にある歴史を感じる街です。
今日はそのクレムスの街のシンボルについて少しまとめておきます。
クレムスの街はバーべンベルク王朝時代からで、995年に"Cremisa"とうことで記録に登場しています。
またヴィレンドルフのヴィーナスと同様に旧石器時代のものも発掘されている歴史ある場所でもあります。
クレムスのシンボルと言えばこの
Steinertor (シュタイナートーア)です。
このSteinertorは当時4つ存在した城門のひとつで、現在はこれしか残されていません。
Torは門という意味です。
真ん中の塔の一角には15世紀の終わりである1480年と記され、ハプスブルグ家の皇帝フリードリヒ3世の有名なモノグラム"AEIOU"を見ることができます。
これはいくつかの解釈がありますが
(Alles Erdreich ist Österreich untertan)・・・オーストリアは全世界の支配者であるというような意味です。
この城門は1477年にハンガリー軍との戦いで壊されて、その後修復が余儀なくされたことを物語っています。
この城門はもちろんクレムスにあった城壁に組み込まれていました。
15世紀終わりでも真ん中の塔はゴシック様式ではなくバロック様式となっていて、マリア・テレジア女帝の時代である1756年に作られました。
真ん中の塔だけでなく、この門の両側にあるゴシック様式の塔もそれぞれ通り抜けができるようになっています。
このSteinertorを抜けた抜こう側にクレムスの中心が広がっています。
塔の部分には3つのワッペンを見ることができます。
一番左はこの街クレムスのワッペンです。
1463年に皇帝フリードリヒ3世がこのクレムスの街に与えたもので、現在でもこの街の紋章として使われています。
赤い舌を出した金の双頭の鷲で、皇帝の帝冠が間にあります。
真ん中のワッペンはマリア・テレジア時代のハプスブルグ帝国を表します。
双頭の鷲の上にはM.T.というロゴが見られます。
一番右側は2つのワッペンが並んでいますね。
左側はオーストリアではお馴染み"Bindenschild"で、右側はシュタイヤーマルクの紋章にもなっている豹です。
これは1453年~1463年まで使われていた古い街の紋章です。
いかがですか?
街の城門ひとつとっても歴史を感じますね。