オーストリアで観光ガイドは簡単にできるような仕事ではありません(公認ガイドとして一言シリーズ 6 )

オーストリアでのガイド業は国家ライセンス制度となっているため、団体旅行であろうが個人旅行であろうが、

ガイドを必要とする場合には国家公認ガイドでなければいけないという法律があります。そのため仕事が守られていますので年間を通して有り難いことに忙しいです。でもこれは・・・オーストリアという国は現在では小国かもしれませんが、この国がヨーロッパに与えた、残した歴史的、文化的影響というのは計り知れないものがありますので、それをしっかりと皆様に御案内するべき・・・という国の姿勢が感じられます。

年間を通して仕事をしていると稀にお客様からガイド業はバイトとしてやっていて、本職は何ですか?と聞かれることもあります。

 

厳密に言えば、同僚達の中では趣味でやっている人や年金生活を楽しみながら仕事をしている人もいます。

しかし国家ライセンスを取得するまでは誰もが時間をかけて、苦労してオーストリア全般を様々な分野から学んでいるわけです。国家ライセンスですから当然国家試験があるわけで、国家試験を受ける資格を得るためには国が定めている国家試験準備学校に2年間通います。この学校を2年間通って始めて国家試験を受ける資格がもらえます。

私よりも上の世代の人達は、1980年代に日本からたくさんのお客様が来るようになったことを受けて、ドイツ語がある程度しゃべれるだけで国家試験を受けることができた時代がありました。つまりガイドの国家試験準備学校は強制ではなかったんですね。その時代の方々も現役として活躍している方も少なくありませんが、私の時代はもうそんな甘いことは終わっていたので、国家試験準備学校に行かなければなりませんでした。でも私個人的には好きなことでしたし、ベースもあったので大変でしたが仲間にも恵まれて今では楽しかったといういい思い出になっています。私の時は25人ぐらいのクラスでしたが、その大部分はオーストリア人で、同じ目的を持った仲間達ですので、お互いに情報を交換したり、助け合ったりしていい雰囲気でした。当然その時の仲間が国家ガイドとして活躍していますから、街中で頻繁に出会い、限られた時間の中で昔話に花が咲きます。

国家試験準備学校に行ったガイドと行く必要がなかった当時のガイドとは知識の幅がかなり違うはずです。

 

日本語で"ガイド"と言うと、観光バスガイドのイメージを抱く方が多いですが全く違います。ガイドと言えば現地を知っている・・・でもシュテファン大聖堂はあそこです、ここがシュテファン大聖堂です・・・これだけを案内することは誰でもできることです。でも国家ガイドはオーストリア国家通訳案内士ですから歴史的背景がわかっています。ここにこれがあります・・・というのも案内には違いありませんが、キリスト教、建築、絵画、歴史、音楽、習慣、ハプスブルグ家などの様々な分野との歴史的関連性を説明できてこそ本当のガイドです。しかも、それがその一箇所ではなくてオーストリア全域に渡っているので、バイト感覚ではとてもできる仕事ではありません。

 

そのため、オーストリア国家公認ガイドは国が定めている職種なのでオーストリア国内において観光面ではかなり優遇されています。どこの博物館もほぼ無料で自由に入れますし、国家ガイドがいないと入れない所にもバスを入れることができる、シェーンブルン宮殿や国立オペラ座などは国家ガイドであれば単独で内部案内ができる、また顔見知りが多くなることもうれしいことです。頻繁に博物館に行きますから、シェーンブルン宮殿や美術史博物館などでは誰もが私の顔を知っていますから逆に何かあった時にはすぐ力になってくれます。

 

国家試験は口頭の理論、実地、経営簿記の3本立てで、この3つ全てが受かって初めてオーストリア国家公認ガイドとして事業主として正規に営業できます。国家試験準備コースも国家試験も全てドイツ語です。

 

 

 

 

 

 

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