ここが話題になって早いもので、すでに10年以上が経ちました。
ウィーン国際空港へ車で向かう時などに、高速道路上からまず見落とすことがない、
煉瓦で作られた大きな4つの円柱が並んでいるのが見えます。
あれは何ですか・・・とよくお客様からも御質問があります。
それはGasometer (ガソメーター)です。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/none/path/s4e142077b197ce48/image/i58161a141f97e092/version/1484456374/image.jpg)
ウィーンの中心から4.3km南東に離れた11区の一角に、当時ウィーンに2つあった
ガス会社のひとつGaswerk Simmeringにより1896年から作られ、
そして1899年~1975年まで使われていたガスタンクの外壁です。
1970年代半ばに天然ガスが導入され、最終的に1984年から全く使用されなくなりましたが、1981年より重要文化財として登録されています。
その後ウィーン市はこの建物を有効に再利用することにし、1995年にアイデアの募集が
行われました。
最終的に多くの人が使えることを考え、住居、学生用住居、オフィス、商店街に決定し、
4人の建築家がそれぞれを担当し、2001年9月30日がオープニングでした。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=367x1024:format=jpg/path/s4e142077b197ce48/image/i257d9bc508f9ea32/version/1484456347/image.jpg)
ガソメーターの高さ72.5m、
直径65m、壁の厚さは、0.9m~5.4mです。
1枚目の写真で、右からそれぞれ
A棟、B棟、C棟、 D棟と
なっています。
それぞれの建築家は
A棟 Jean Nouvel (ジャン・ヌーベル フランス)
B棟 Coop Himmelb(l)au (コープ・ヒンメルブラウ オーストリア)
C棟 Manfred Wehdorn (マンフレッド・ヴェードルン オーストリア)
D棟 Wilhelm Holzbauer (ヴィルヘルム・ホルツバウアー オーストリア)
です。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=397x10000:format=jpg/path/s4e142077b197ce48/image/i25a72673d1d7966d/version/1484456354/image.jpg)
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=397x10000:format=jpg/path/s4e142077b197ce48/image/i565339090868a61b/version/1484456358/image.jpg)
こちらは一番特徴的なB棟です。
私の好きなコープ・ヒンメルブラウは1968年にWolf D.Prix とHelmut Swiczinsky
によってウィーンに設立されたアバンギャルド的建築オフィスです。
このB棟だけは外側に18階建ての住居部分が追加されていて、全体で254の住居が
あります。
写真ではあまりわかりませんが、とても
大胆な「く」の字型構造です。
こちらはC棟の内部から建物の中庭空間を
見ています。
たくさんの住居があることがわかり、
青空が顔を出しています。
太陽の光が上から下まで全体に届くという
コンセプトです。
住居数は92です。
このGasometerは、地下鉄3号線(U3)で、ウィーンの中心から簡単にアクセスできます。
駅名も"Gasometer"です。地下鉄を降りて地上に出ると、すぐにA棟から入って行くことができ、日本で言う3階は、A棟~D棟まで全て内部でつながっています。
Gasometerの商業地域はスーパー、マクドナルド、レストラン等と一般的ですが、
建造物として見る価値は十分にあります。