ウィーン「楽友協会ホール」

音楽の都とも言われるウィーンでは、毎日至る所で演奏会が行われています。

オペラ、通常の演奏会、教会音楽、観光の皆さんが手軽に行けるワルツコンサート等、とても豊富です。

ウィーンでのいわゆる通常演奏会と言えば、楽友協会ホール、コンツェルトハウスが2大演奏会ホールでしょうか。

 

今回はこの楽友協会ホールについて少し書きたいと思います。

 

 

楽友協会ホール、ドイツ語では、「Gesellschaft der Musikfreunde」・・・

ゲゼルシャフト・デア・ムズィークフロインデと言いますが、何と言っても、世界一音響がいいホールのひとつであること、ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの生中継場所であること・・・この2つで有名です。

 

 

この建物は、テオフィル・ハンセンという有名なリンク道路時代の建築家により、1870年にこの場所に建てられました。

ハンセンの重要な建築がいくつもありますが、代表的な建造物はリンク道路上にある国会議事堂でしょうか。

 

 

この建物は、1870年ですが、「楽友協会」自体はもっと前の1812年に設立されています。当時は音楽が宮廷から貴族層、そして少しずつ一般庶民に入ってくる時代であり、より多くの演奏会を皆さんに提供しよう・・・という発想で組織されました。当時はウィーンの旧市街地の一角に彼らは、演奏会ホールを含めて拠点を持っていましたが、時と共にそこは狭くなってきました。

そこで広い所に・・・ということで検討され、そしてこの場所に1870年に移ったというわけです。

 

この楽友協会ホールは、Großer Saal・・・大ホールのいわゆる黄金の間、Kleiner Saal・・・小ホールのブラームスザールが当初から作られ、更に10年前からこのホールの地下部分に、(実際には地下でつながっているだけで、これらは正面広場地下に作られています)

メタルのホール、木のホール、ガラスのホール、石のホール・・・という4つのホールが新たに建設されました。

 

 

何と言ってもこの大ホール・・・通称「黄金の間」(ドイツ語では、Goldener Saal)

は、素晴らしい音響とニューイヤーコンサートで有名ですね。

 

なぜここの音響がそんなに素晴らしいのでしょうか・・・

実はかなりの偶然が重なっているのです。

 

これを建てた建築家のハンセンは、決して音響学に精通していたわけではありません。

もちろん当時考えうる、ある程度の音響効果を考慮しました。

 

 

彼はデンマーク人ですが、ギリシャに住んでいました。

ギリシャ古典様式を学び、そこでこの楽友協会ホールを「音楽の神殿」という発想で、ギリシャ神殿的スタイルを取り入れたのです。

 

後の1883年にリンク道路上の国会議事堂を建築するわけですが、そこでは完全にギリシャ神殿を見ることができます。

この楽友協会ホールは、至る所にギリシャ様式を見ることができますが、国会議事堂のようなギリシャ一色ではありません。言ってみれば、ギリシャ=ルネッサンスと言えばいいでしょうか。

この辺も、19世紀後半特有の混ざった建築様式を見ることができます。

 

 

そのギリシャ神殿の建物の比率も音響に素晴らしい効果をもたらします。

舞台、床、椅子、壁などに木が使用され、天井も吊り天井、天井や内部装飾、床の大空間などが見事に調和して素晴らしい音響効果を生み出します。

 

言ってみればバイオリン、ギター等同様、(バイオリン等は中が空洞ですね)

ホール全体が空洞です。

つまり、この楽友協会黄金の間は、ホール自体が楽器だったんです。

 


もうひとつはウィーンフィルのニューイヤーコンサートです。

ニューイヤーコンサートは、1月1日 午前11:15分にこの黄金の間で始まり、世界に生中継されています。

 

ニューイヤーコンサートはあまり知られていないようですが、実は3回あります。

12月30日、大晦日、そして1月1日の3日間、同じプログラムで同じ顔ぶれで演奏します。

1月1日だけは唯一世界に生中継とお花が飾られています。

 

この3日間、全てウィーンフィルが自らチケットを販売します。

インターネット上で、ウィーンフィルが専用のサイトを公開し、どなたでも申し込むことができるようになっています。

申し込みが締め切られると、ロトシステム(いわゆる抽選)により運がよければチケットを購入することができます。

でも・・・

1月1日が正規価格940ユーロ(今年の価格)と思いっきり高いです。

正規価格にこだわらなければ、手数料がつきますが、地元チケットオフィスなどでも意外と手に入ります。

 

まぁ~、一生に一回と考えれば、決して出せない金額ではないですが、

国立オペラ座の最高のカテゴリーで、最高の席で見ても250ユーロということを考えれば、バカ高ですね。

 

 

ちなみに、この楽友協会とウィーンフィルはあくま仕事上の関係であり、お互いは全く別の団体です。

ウィーンフィルは私的団体で、この楽友協会にオフィスがあり、本拠地にしていますが、ウィーンフィル主催の演奏会では、ウィーンフィル自らがチケットを売ります。

 

このように楽友協会主催でない演奏会も数多く行われています。

楽友協会主催の演奏会は楽友協会がチケットを販売します。

 

楽友協会は博物館ではありませんので、内部見学はガイドツアーのみ入ることができます。

ガイドツアー 基本は月~土 13:00 英語、13:45 ドイツ語です。

http://www.musikverein.at/fuehrungen/fuehrungen.php?lang=de

 

行かれたい方は、事前に確認をされることをお勧めします。

ちなみにこの楽友協会は私達オーストリア国家公認ガイドが単独で皆様を御案内することはできません。

 

 

 

 

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